ある学習者さんの例です。この方は高校入学の4月から本塾に週1回の契約で通塾を開始しました。中学3年生の時に「英検準2級」を取得していましたが、入塾当初は英文の主部と述部の把握の仕方が不正確で、英単語の雰囲気から英文の内容を憶測して意味を言えるというレベルでした。

そのため、もう一度「英検準2級」の基礎に立ち返って英文の読み方を習得してもらうことにしました。旧試験である2009年度の第3回にさかのぼって毎週過去問を1回分ずつ宿題に出しました。英検の旧試験は新試験にはない並べ替え問題が含まれているため、英文の基礎を復習するには良い教材だと思います。

指導の中心は、きれいな和訳をつくることを前提としない内容把握の意識化と、そういった作業の習慣化でした。そのためS(主語)とV(動詞)の認定についてはくどいくらい強調し、スラッシュの位置も事細かく説明しました。

4月~6月は週1回の指導で英文の読み下ろしトレーニングを実施し、6月末には、SとVの認定は間違いなくできるようになりました。スラッシュの挿入についても、様々な条件の中から自分の読解速度のブレスに合ったものを的確に選択して使用できるようになりました。問題の正答率が85%を超えるようになりました。

7月からは指導が週2回の契約に更新となり、教材を「英検2級」の過去問に切り替えました。その後は語い数が増したこともあり、英文の読解速度がかなり向上し、10月末頃には1回90分の指導で400ワードの英文1.5題から2題を受講できるレベルになりました。

「英検準2級」および「英検2級」の読解トレーニングの中で、基礎文法、フレーズ知識、品詞変化も合わせて指導しました。これとは別に4月より英単語集を用いて暗記の口答テストも継続して実施したため、かなりしっかりした基礎読解力を養えたのではないかと思います。

年明けの最初の英検2級の1次試験では得点率が80パーセントを超え、2次の面接試験もクリアでき、英検2級に合格することができました。今後はタイミングを見て英検準1級へと取り組めればと考えています。

英検の資格を取ることだけを考えればもっと早期に取得することはできます。ただそこは競わずゆっくりと時間をかけて豊潤な英語力、言語力の形成をめざして指導を行いました。

この学習者さんは高校1年7月の「進研総合模試」で英語は学年66位でした。その後、11月で学年3位、1月も引き続いて学年3位で全国偏差は70近くになりました。目標大学は首都圏の難関私立大学の国際系学部です。まだまだ力不足ですが、気持ちを途切れさせずに着実に学習を継続してほしいと思います。

なお、この学習者さんは現代文と古文の指導も並行して受講しています。秋頃には古文文法は身に付き文章の分析もできるようになりました。言語系科目に自信を持てるようになってきた印象を受けます。