英文の主語と動詞を適切に定義づけし、文中での位置を確定することは、英文を解釈していく上での基本です。このことができていないと、学習者はしばしば自分に都合の良い読み方をしてしまいます。ただ、間違った読み方をしているのに、微妙にずれながらもなんとなく文意が通ってしまうことがままあるため、学習者の中には我流の読解の仕方で通してしまう人がいるのも事実のようです。

まずはSとVをしっかりと捉えましょう。Sは主語でVは動詞とか、Sは主部でVは述部とか、Sは動作主体でVは動作とか、指導者は学習者に解説をするうえで説明しやすい定義を施します。

ここでもそれは同じですが、超シンプルに、意味上、Sは動作主でありVは動作であるという関係で、構造上は、Sは英文の文頭にある名詞群で、Vはそれに続く時制を持つ動詞群とします。そして必ずそれとわかる印をつけてもらいます。

意味上は、Sは動作主(…は)、Vは動作(…する/した)
構造上は、Sは文頭の名詞群、Vは時制を持つ動詞群
処理の仕方は、( S ) V のように印をつける

では具体例を青山学院大学の2021年度全学部日程の英語 I の第3段落で見てみましょう。各英文には便宜的に番号を振りました。あなたは、SV構造をどう見ますか?

①During the Middle Ages, many Europeans believed that diseases were spread through bad air. ②They thought that bathing, especially with hot water, made a person more prone to diseases, such as the bubonic plague, a diease that killed many people and that was also known as the ‘Black Death’. ③There was also a moral component associated with washing at this time, since to be a person loved by God involved the rejection of comfort and luxury. ④So if you smelled bad, you might be closer to God.

では一文ずつ見ていきましょう。

①During the Middle Ages, / ( many Europeans ) believed / that ( diseases ) were spread / through bad air.

初学者は ( the Middle Ages ) とやりがちなので注意が必要です。前置詞のDuringと接続して前置詞句を形成していて、( S )にはなりません。最初の( S ) V 構造である ( many Europeans ) believed の後に接続詞の that があります。そこはスラッシュ( / )が入り構造が一旦リセットになり、その後に続く( S ) V 構造をカウントします。spread が受動態になり were spread になっています。中途半端でなくしっかりと were spread としましょう。スラッシュの入れ方は別のページで簡単に触れています。そちらを見てください。

②( They ) thought / that ( bathing ), / especially with hot water, / made a person more prone to diseases, / such as the bubonic plague, / a diease / ( that ) killed many people / and ( that ) was also known / as the ‘Black Death’.

冒頭の( S ) V 構造である ( They ) thought は問題ないでしょう。問題は接続詞 that の後で ( bathing ) とできるかどうかです。その後に espacially with hot water が挿入されていて made まで間隔が空くため、我慢できない学習者は with の後なのに ( hot water ) とやらかしてしまいます。( S ) V 構造に限らず、どんなに単純な構造でも離れてしまうと見えにくくなることがありますが、そこは踏ん張って ( bathing ) … madeとしてください。

その意味で、ある程度以上の速度で読める学習者は、読み終わった個所の意識が残っているので、最後まで書いてあるままに意味内容を読み取ることができます。ちなみに最後の that は関係代名詞、接続詞、もしくは指示代名詞のどれかわかりますか?わかんなくても大意把握には影響ないですけどね。

③There was also ( a moral component ) / associated with washing / at this time, / since ( to be a person / loved by God ) involved the rejection of comfort and luxury.

( There )ってやる人がいるので怖いです。動詞の単複を決めるのは主語ですから、There was also ( a moral component )としてください。注意してほしいのは 直後にある associated の扱いです。規則変化動詞なので過去形も過去分詞も associated です。しかしここは was で(V)が決定済みであること、便宜的に名詞+分子であること、( be ) associated with O「Oと関連した」であることがわかりますから、associated としないことが大切です。

後半も危険です。物理的な視野と意識の視野が狭いと to be a person loved by God を見た瞬間に to 不定詞の副詞的用法の目的の意味に解釈して「人になるために / 神によって愛される」と理解して確定してしまいます。確定してしまうと修正が効かなくなりますから、involvedとの ( S ) V 構造を考える余地はなくなり、それ以下の内容をでっちあげる可能性が生じます。今回はでっちあげたとしてもそれなりに内容は把握できます。しかし、それで良しとして低いところで落ち着いてしまうことが心配です。

④So if ( you ) smelled bad, / ( you ) might be closer to God.

ここは( S ) V 構造に関してはなんの問題もないと思います。接続詞 if に導かれるところには必ず( S ) V 構造があります。構造そのものよりも、意味が気になります。「もしもあなたが臭いにおいを嗅ぐと…」なんてしたらだめですよ。

以上です。たいていどこの塾でも教えていることで特別なことはひとつもありません。ひとりでもやれることばかりです。さあ、みなさんがんばって勉強しましょう。