YouTubeとか眺めていると、優秀そうなお兄さんやお姉さんやたまにおじさんが、市販の英単語帳を使った英単語の暗記の仕方を親切に指南してくれているのを見かけます。受験生にとってはとても便利で整った環境になったなあと感じます。

そういった動画は、大体において技術論について述べたもので、ある程度勉強に向き合えるレベルにいる学習者で、なおかつこれまでに様々な方法で暗記学習に取り組んできた方たちが、学習の質をさらに高めようとするなら、有効だろうなと思います。要するに学習がある程度自立しているしっかりした受験生さんたちでこそ活用できるツールだなと思います。

一方で、私がふつう接する受験生さんたちは、早稲田とか慶應とかはハードルが高いけど、青山学院や学習院や成蹊や中央や法政や明治や立教とかなら自分も入れるんじゃないかと希望を抱いているが、英語の力が足りないと悩んでいる方たちです。要するに世間並みに有名大学に行きたいが英語が苦手というわけです。

こういう方たちほど、要領のいい技術論で暗記という難題を克服できると考えがちで、それこそYouTubeの解説動画に走ったりします。ただ、このような方たちの抱きがちな誤解は、暗記できないのは自分の学習の質・方法が原因であり、量が決定的に足りないせいとは決して考えないことです。学習の量を増やすとは無駄もしくは苦痛と同義なのです。終わっています。

そもそも、英単語アプリを使って英単語の音を声を出して体に刷り込もうとしていますか?発音できるようになった英単語の意味を何度も声に出して言っていますか?

次に英単語を見てその意味を、また日本語を見てその英単語を声に出して言っていますか?英単語アプリの発音を聞いてその単語をノート書いて確認し、その意味を言葉に出して言っていますか?

どうですか?身体的で原始的でしょ。そういう原始的な行為を登下校の電車やバスの中で行うのです。友達とのおしゃべりを断ち切り、一時の楽しみを我慢して、単語帳をカバンから出してみませんか?そういう小さなことから始めませんか?

ある程度の単語力ができ、暗記学習が定着した時こそ、YouTubeのお兄さんやお姉さんの教えも役立ちます。語源解説もなるほどと思えるようになり、派生語のシステムもクリアになります。

どこの塾でもやっていることですが、本塾でも単語の成り立ち、接頭辞や接尾辞、品詞変化のルールなど折に触れて解説し、塾生さんに問いかけ、覚えたことを引き出し、インプットとアウトプットを頻繁に行うことで単語学習のすそ野を広げるきっかけを作っています。

お友達の中に、単語帳をながめるようにして英単語を覚えてしまう人がいるかも知れません。もしそういう人がいたとしても、自分を無能だと嘆く必要はありません。そういう人たちは、それ以外の大多数の人たちと、脳の構造そのものが違うのです。ひとはひと、自分は自分と割り切ったほうが健康的です。

さあ、みなさん、人並み以上の努力をしましょう。誰にでも努力をする権利は許されています。いわゆる普通の人が努力をして、早稲田大学や慶應義塾大学に受かったなどという話はいくらでもあるのです。受かりたい大学があるのなら、さあ、みなさん今から一生懸命勉強しましょう。